「野良猫一座物語」~テーマ曲~
音楽:酔いどれ兄さん

上の音楽を再生しながら読むと、尚、物語を楽しむことができます(^^)

第七章・独眼猫政宗

HOME野良猫一座物語-第一部>第七章・独眼猫政宗
独眼猫政宗

その猫の名は独眼猫政宗

一瞬にして、その場の空気を己の色に染め上げてしまう程のオーラ。
それは決して世間一般で言う「悪」だとか「危険」とかいう類のものでは無い。
今わかることは、この猫が只者ではないということだけだ。

どれだけの修羅場をくぐって生き延びてきたのだろうか。

どっけんナイスガイ権兵衛は、その右側にしかない瞳の奥に、哀しみを見たような気がした。

婆ミヤンから聞いて来たのかい?」
微かに聞こえるように、呟くような問いかけ。

戸惑いながらも、恐る恐るといった感じで聞き返すナイスガイ権兵衛
ボスの縄張りをスパイしている白い影を追って来たんですが、何か知らないでしょうか?」

「おそらくヤジキタだろうぜぇ…」
さして興味もなさそうに、あいかわらず小さな声で返す。

ヤジキタとは誰だろうか?
しかし、そんな疑問は、この片目の猫への興味で吹き飛んでしまう。

北から風が吹いた。
木枯らしだろうか。

片目の猫は続ける。
「北からの風…左眼がうずくぜぇ」
そして背を向けた。
帰る場所などあるのだろうか。

「ちょっち待って!あんたって何者ぉ?」
どっけんが尋ねる。

いつのまにか雨が降りだしていた。
独眼猫政宗の姿が、幽かに見えるだけになった。

そして、
「眼もひとつならぁ身もひとつ。左眼と引き換えに自由を得たのさぁ。」

やはりその声は呟くようで、今降る雨の如く、微かに二人の胸の中に染み入るように聞こえてきた。
眼もひとつならぁ身もひとつ

次の章へ>>
<<前の章へ

この章の出演者

独眼猫正宗
-独眼猫正宗-
野良猫一座の幹部であった過去を持つ。
猫目雅子を愛し、鬼猫院を尊敬していたが、己のけじめを貫き通し、堅気の猫となる。
続きを読む>>

ナイスガイ権兵衛
-ナイスガイ権兵衛-
2005年・秋、この田舎に辿り付いた。
いいヤツだが…名無しだった為「ナイスガイ権兵衛」と命名。
続きを読む>>

どっけん
-どっけん-
柴犬メス…しかし自分の事を人間だと信じている。
自分が一番偉いと思っているが、この抗争で成長して…。
続きを読む>>

長老・婆ミヤン
-長老・婆ミヤン-
犬界の長老で、過去から現在の全てを知り、未来予知も出来るという。
犬は勿論、猫の大物たちでさえ、彼女には逆らえない。
続きを読む>>

ボス
-ボス-
その名の通り、誰もが尊敬する「ボス」。
子分「ナイスガイ権兵衛」が一座の罠にかかり、黙っていられる訳にはいかなかった。
続きを読む>>

愛しの出演者たち