「野良猫一座物語」~テーマ曲~
音楽:酔いどれ兄さん

上の音楽を再生しながら読むと、尚、物語を楽しむことができます(^^)

第九章・危機

まさに狂犬

まさに狂犬と呼ぶべきか。

ヤジさんの眼には、どっけんナイスガイ権兵衛に対する敵意、否、殺意とさえ呼べそうな、炎の如き憎しみに満ち満ちていた。

「俺達の縄張りに、何しに来やがった!?ボスの命令か…ああ?」

こ、怖い。
ボスの迫力とは違う、狂気じみたそれは、燃え盛り近寄る事さえもできない烈火の如くに、強く熱く、まさしく「炎のヤジ」であった。

「先にこっちの縄張りをスパイしてたのは、お前の方だろう!」どっけんが言う。
「そうだそうだ!」ナイスガイ権兵衛の相槌。

「その事か。思い出しただけでも腹が立つぜ。
あれはな、黒猫のヤマトが手紙を届けにきたからだ。
しかも差出人の無い手紙をな!ふざけやがって!」

わなわなと怒りに体を震わせながら、ヤジさんは続ける。

「てっきり鬼猫院からの手紙かと思ったから会いに行ったんだよ!そしたら…」

一瞬の間、それが数時間のように感じられる。
やはりヤジさんも大物のようだ。

「見た事も無い猫が来て、野良猫一座と手を組んで ボスの縄張りを奪わないかと持ち掛けやがった。
このヤジ様に、座長自らじゃなく、三下の猫野郎を相手にさせるとはな!」

「それで?」

「ああ?俺様を馬鹿にした猫野郎の言う事なんか聞けるかい!
どっちにしろボスの縄張りなんぞ、俺達ヤジキタ二人で奪うつもりだったさ!
勿論、野良猫一座も一緒に葬ってやるつもりだがなぁ!」
炎のヤジ

静まり返る場。

犬、猫の頂点は俺たちだ!

「まずは手始めにお前たちからだ。」
今にも襲いかからんとするヤジさん
にじり寄るその足どりは、場慣れした闘犬そのものだ。

どっけんナイスガイ権兵衛も、決して弱くはない。

だが、ここはヤジキタの縄張りである。
争いになれば、当然仲間達が嗅ぎ付けて、集団でボッコボコにされるだろう。

逃げるしかないか…

逃げるが勝ち!そう思った瞬間。

「何をしてるんですか?あなた達は。」
背後から犬の声がした。

しまった!ヤジキタの仲間に回りこまれたのか?

暴力はいけませんよ

「ちっ、ガンジーのおっさんかい」、ヤジさんの舌打ちが聞こえた。

ガンジー?誰だろうか。

次の章へ>>
<<前の章へ

この章の出演者

ヤジさん
-ヤジさん-
南の犬界を圧倒的な暴力で支配する「ヤジキタコンビ」の、ヤジさん。
凶暴なる性格ゆえに、「炎のヤジ」という異名を持つ。
続きを読む>>

ナイスガイ権兵衛
-ナイスガイ権兵衛-
2005年・秋、この田舎に辿り付いた。
いいヤツだが…名無しだった為「ナイスガイ権兵衛」と命名。
続きを読む>>

どっけん
-どっけん-
柴犬メス…しかし自分の事を人間だと信じている。
自分が一番偉いと思っているが、この抗争で成長して…。
続きを読む>>

ボス
-ボス-
その名の通り、誰もが尊敬する「ボス」。
子分「ナイスガイ権兵衛」が一座の罠にかかり、黙っていられる訳にはいかなかった。
続きを読む>>

座長・鬼猫院
-座長「鬼猫院」-
旅役者「野良猫一座」座長。
優しさと厳しさを兼ね備えた、リーダーとして完璧な猫。
続きを読む>>

黒猫のヤマト
-黒猫のヤマト-
「野良猫一座」のお届け係。
様々な情報や友好関係など広いネットワークを持つ。
続きを読む>>

愛しの出演者たち