「野良猫一座物語」~猫目雅子テーマ曲~
音楽:酔いどれ兄さん

上の動画を再生しながら読むと、尚、物語を楽しむことができます(^^)
第二部から登場する、人気キャラ猫目雅子のテーマ曲が流れます。

第十二章・黒猫のヤマト

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快晴。
冬へと向かう時期、一日だけ暖かさが戻ったような日だった。

どっけんナイスガイ権兵衛は、縄張りに異常が無いか確認しながら、おそらく今日だけであろう陽気を楽しんでいた。
犬に優しい陽気だな


いくつもの畑や田んぼを見て回り、人間という生き物に出会う。
何故か人間は2人の頭を撫でるが、不思議な事にそれが嬉しくもある。

どっけんの部下の大蛇山が言っていた。
「野良猫と仲良くしたいんだけど、逃げていくんだよね」と。

おそらく大蛇山は、嫌われているだけだろう。
この辺りでは、野良猫と一緒に暮らしている人間も少なくないのだ。

どっけんナイスガイ権兵衛と、そんな馬鹿話をしながら、暖かい陽射しを満喫していた。

瞬間、視界の隅に、その明るい陽射しと相反する、黒く丸い何かが目に留まった。
あれは?
黒い猫


間違いない、黒猫のヤマトじゃないか!
しかし、あと一匹いるのは?

近づくに連れ、顔立ちが似ているのが見えてきた。
大きさは一回り違うようだ。
親子のように見える。

「ボッコボコにして、野良猫一座の企みを聞くチャンスですよ!」ナイスガイ権兵衛が息巻く。
そのまま飛びかかろうとした瞬間。

「ちょっと待ってくれ。」

思いがけない言葉が、黒猫のヤマトの口からこぼれた。
あのプライドの高い男が、犬2頭を恐れる訳も無い。

お父ちゃんのお友達?

「父ちゃんのお友達?」

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「そうだよタンゴ、これから大切な話があるから、ちょっと待ってなさい。」

こんなに優しい目をした男だったか。
まさに愛する我が子を見る、親の眼差しだった。

そして2人を畑の中央へと呼び出し、黒猫のヤマトは語り始めた。

権兵衛、こないだは恥をかかせちまったな、すまない。
娘のタンゴは野良猫一座の事は全く知らないし、堅気の猫と結婚させるつもりだ。
だから娘には、一座の事は一切内緒にして欲しいのさ。」

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「都合が良過ぎるんじゃあねぇですかい?」ナイスガイ権兵衛が言う。

「いったい、野良猫一座は何を企んでるだ!」どっけん権兵衛が熱くなる前に、聞きたい事を口にした。

「しょうがねえな。俺の知る事だけ話すぜ?
まず、俺達野良猫一座には悲しい掟がある。
鬼猫院の親分の女房が作ったらしいが、詳しくは知らねぇ。

一座の男に惚れちまった女がいるとする。
その女が子供を宿して産んでしまったら、子供は一座の猫として教育係に育てられるんだが、子供を産んだ女は、その掟に従い遠方の島へ奴隷として…」

「ちょっと待て!もう言うな!」
どっけんはそれ以上の話は聞きたく無かった。
もしかしたら抗争の核心部分まで聞けるかもしれないが、目の前の男に喋らせるにはあまりに残酷だ。
遠くから黒猫のヤマトを心配そうに見つめる小さな瞳に気づいた。

信じたくない話だが。

目の前にいる男には娘がいる。
じゃあ、その娘の母親は奴隷として島流しに?

ジェリーが猫目雅子に会えば何か解ると言ってたぞ。」
これ以上、黒猫のヤマトに悲しい過去を思い出して欲しくなかった。

「お前達も会っただろう、独眼猫政宗に。
あいつは元々、野良猫一座の幹部で、俺なんかより大物さ。
しかし、その政宗に猫目雅子さんが惚れちまった。
悪い事に猫目雅子さんは、鬼猫院の親分の義理の娘だ。

複雑な事情があるんだろうが、いろんな噂が飛び交った結果、政宗は猫目雅子さんの為に、片目と引き換えに一座と雅子さんから身を引いた。」

「猫目雅子さんと独眼猫政宗、そして座長・鬼猫院がこの周辺の平和の鍵を握ってるってぇ事ですかい」
権兵衛は完全に言葉が影響されている。

それ以上、聞く必要も無いだろう。

黒猫のヤマト、今度会うときは笑顔で会いたいものだな」
聞こえたか聞こえなかったか、どちらでも良かったがどっけんはそう呟いて、黒猫の親子に背を向けた。

黒猫のヤマト・タンゴ親子


お前ってヤツは…


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この章の出演者

黒猫のヤマト
-黒猫のヤマト-
「野良猫一座」のお届け係。
様々な情報や友好関係など広いネットワークを持つ。
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黒猫のタンゴ
-黒猫のタンゴ-
「黒猫のヤマト」の実の娘であり、野良猫一座には属さない。
一座については、ヤマトが隠し続けている為に知らないのだ。
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どっけん
-どっけん-
柴犬メス…しかし自分の事を人間だと信じている。
自分が一番偉いと思っているが、この抗争で成長して…。
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ナイスガイ権兵衛
-ナイスガイ権兵衛-
2005年・秋、この田舎に辿り付いた。
いいヤツだが…名無しだった為「ナイスガイ権兵衛」と命名。
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ジェリー
-ジェリー-
食べ物と引き換えに情報を渡す、プロのタレコミ屋、ジェリー。
小さい身体と素早い動きで、何処にでも侵入する。
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座長「鬼猫院」
-座長「鬼猫院」-
旅役者「野良猫一座」座長。
優しさと厳しさを兼ね備えた、リーダーとして完璧な猫。
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独眼猫正宗
-独眼猫正宗-
野良猫一座の幹部であった過去を持つ。
猫目雅子を愛し、鬼猫院を尊敬していたが、己のけじめを貫き通し、堅気の猫となる。
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